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第1回 防災コラム:防災×ファッション

こんにちは!備え・防災アドバイザーの高荷(たかに)です。自然災害大国・日本において「防災対策」は重要なことですが、何からすればよいか分からない…、なんとなく大変そう…、そんなイメージをお持ちの方も多いのでは。

このコラムでは、生活に取り入れていただきたい身近な防災対策のノウハウを、ふんわりした解説でご紹介いたします。そうか、防災はこうすればいいんだ!というヒントを見つけて、ぜひ家庭の防災として実践してみてください。

第1話「防災×ファッション」を考える

ということで今回のテーマは「防災ファッション」です。災害時にテレビを見ていると、新品の作業着に身を包んだ行政の偉い方々や、全身防護服に身を包んだ医療関係者の方々を見かけることがありますが、私たちが着るべき「防災服」とはどのようなものでしょうか?

防災で重要なことは「命を守る」こと。防災ファッションにも色々な方向性がありますが、まずは命を守る服装が重要です。というわけで今回は、「避難」時の服装についてお話をします。「オシャレは我慢」と言われることもありますが、防災ファッションに必要な要素は「極力我慢しない格好」であり、キーワードは「露出しない」「手足を守る」「水濡れを防止」の3点です。

露出を避ける服装

大地震で火災が発生したり、大量の落下物・ガレキなどが道路を埋め尽くしたりすると、移動時に火の粉をかぶったり、転倒して危険物の上に倒れ込んだりする可能性が生じます。そのため、肌を露出させない「長袖・長ズボン」が基本的な格好となります。自宅に「ヘルメットや防災頭巾」があればそれを、なければ「帽子」をかぶり頭も保護しましょう。

え?うちには爺ちゃんが趣味で買った戦国時代の大鎧があるから、それを着て逃げる?やめてください。露出は避けられますが重すぎて途中で動けなくなります。とりわけ津波などから逃げる必要がある場合は、「身につけた際に走れる重さ・軽快さ」の衣類と、防災リュックを準備することが重要なのです。

踏み抜き防止インソール
JIS規格で、体重112キロの人が釘の上に片足で立っても踏み抜かない性能が定められています。

手足を守る装備

災害時には足下に割れたガラス、釘やネジ、尖った金属片などが散乱する恐れがありますので、「靴底が分厚く・溝が深くて滑りづらく・できればハイカット」の靴を選んでください。また転んで手をついたり、障害物をどけたりすることもあり得ますので、「手袋」も着用しましょう。作業手袋などがあればそれを、なければ100均の軍手でも構いません。

足を守る便利アイテムに、「踏み抜き防止インソール」という、釘などの貫通を防止してくれる「中敷き」があります。金属タイプと特殊繊維製のものがありますが、使いやすいのは後者。柔らかいため長時間履いても違和感がなく、ハサミで好きな大きさにカットも可能です。普段履いている靴に入れっぱなしにすれば足下の防災が完了、オススメです。

水害避難時の基本コーデ
足下が浸水している状況での移動は避けるべきですが、どうしても移動が必要な場合はフル装備で避難をしてください。

夜間移動と雨の対策

台風や大雨時の屋外避難はもちろん、大地震発生時も晴れているとは限りません。避難時は両手を空けることが望ましいため、夜間時のライトは手持ちの懐中電灯ではなくヘッドライトを、雨具も傘ではなくカッパが適切です。ベストはアウトドア用の、上下セパレートになっているレインウェア、なければコンビニのポンチョでもよいので必ず準備を。

また、衣類が濡れてしまった場合に備えた着替えやタオルも、避難用のリュックに入れておきましょう。量が多すぎると素早い移動ができなくなりますので、量の目安は1回分です。雨具は防寒着としても使えますので、避難先で寒さを感じる場合には着用しましょう。体に近い側にはフリースやセーター、外側には空気を通さない雨具がベストです。

防災ファッションアイテムの事前準備

ところで、これらの防災ファッションアイテムを、どう管理したらよいでしょうか。私の場合は「趣味=防災」ですので、通勤ウェアが最初から高性能な雨具だったり、革靴にも踏み抜き防止インソールが入れっぱなしになっていたりしますが、多くの方には負担の多い活動です。基本的には「防災リュック」に格納することになります。

防災リュックを選ぶ際は、大きな外ポケットがあるものをオススメします。このポケットに、雨具・手袋・ライトなどすぐ身につける道具を入れておき、必要ならば身につけて避難。一方、水濡れ時の着替えや予備の防寒具は、避難後に使うものですのでリュックの底に敷いておきましょう。このリュックはできるだけ玄関近くで保管してください。

枕元ポーチ

自宅周辺で大きな地震が発生し「1週間程度は余震に警戒」と報道されていたり、「台風などの接近が分かっている」場合、まぁ…雨具を着て寝る訳にはいきませんが、枕元に着替えと、玄関までたどり着くためのスリッパなどを準備すると良いでしょう。特に停電が生じた場合は避難準備に時間がかかりますので、身につけるものは手元に置いておくとよいです。

また違和感がなければ、踏み抜き防止インソールをお気に入りの靴に入れっぱなしにしましょう。ワンサイズ大きな靴を選んで、機能性インソールと2枚重ねにするのも使い勝手がよいです。特に意識しなくても足下の防災対策が完了しますので、防災を生活に溶け込ませることができるようになります。

例えばこのようなセットを、日頃から枕元に設置するのもオススメ。これを使って着替えをし、「本命」の道具がある玄関まで安全に移動することになります。

というわけで今回は、防災×ファッションのお話でした。
ちなみに自宅が火災で被害に遭ったり、水害で浸水してしまった場合、衣類を含む様々な家財をまとめて失うことになりますが、保険で「家財」に補償をつけておけば、失ってしまった家具・家電・衣類などを再調達(再購入)する費用を保険金として受け取ることができます。「家財」の範囲は、「生活用動産」といわれており、一般的に「家の中で動かせるもの」は補償の対象になるため、衣類、身の回り品(靴、バック、アクセサリー、腕時計など)、寝具(ベッド、布団、まくらなど)、台所用品(食器、調理器具など)はもちろん、趣味・娯楽用品(釣り具、ゴルフ用品、楽器、ゲーム機、本、DVDなど)など、実は思っている以上に補償されるんです。ご自身がお持ちの家財、積み上げればそれなりのお値段となると思いますので、建物だけで無く、家財にも保険をかけておくことは、防災の予算を固定化できるのでおすすめです。

今回のライター
備え・防災アドバイザー
高荷智也

1982年静岡県三島市生まれ。
備え・防災をテーマとした、講師業・執筆業・コンサル業・メディア出演業などに従事する、フリーの「防災の専門家」。各種自己メディアでも防災情報を積極配信中。

1982年静岡県三島市生まれ。
備え・防災をテーマとした、講師業・執筆業・コンサル業・メディア出演業などに従事する、フリーの「防災の専門家」。各種自己メディアでも防災情報を積極配信中。